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メロディにのせて書いた歌詞や、空想の歌にのせて書いた歌詞のページです。

ふと想ったことをふと書いた私的な言葉のページです。

コラボレーション企画のページです。
はじめはこのHPの絵を書いてくださったアーティスト・森泉岳士さんとのコラボレーションから。

私雨

二者択一


まあ たぶん
そう いわゆるグローバル化されてゆけば

やっぱり
いわゆる そのらしさ は失うであろう

その国の らしさや
その場所の らしさや

それは、嗜みや、陰影

言葉から、誘われるもの
感覚から、誘われるもの

そのあいまの、情
あうん、のなにか

それは なんて
感覚に対する あまりの無理解!

ふいに、感情がほとばしる

現実と社会の指のあいだから
さらさらと零れ落ちた私は
自分をただしいと証明するべく

息をまく

だが、その、つぎの瞬間

私がこうして
息をしているこの場所は
感覚への無理解だからこそ生まれた世界だ

その世界の恩恵を享受しながら
その恩恵にあぐらをかいて

無理解だと 無慈悲だと 言うなど
それこそ 怠惰の極みではないか

と、息を吐いた

必然の二者択一
この選択の果てに今があるのなら

その両端を埋める
無数のドットの一部でしかない私は
きっと 白にも黒にもなれず
沈黙を通すことしか できないのだ

失われてゆくことを、無言で悲しみ
指にふれた美しさを、幽閉する

なつかしさを 胸にしまい
遠い日を そっと なでる

ただ、それだけ
たった、それだけ

そう
私は 怠惰で 薄情な 人間なのだ

無数のドットを眺める

小さな点の私は
自分が白に近い場所を形成している点なのか
自分が黒に近い場所を形成している点なのか

それさえもわからない

それなのに
この世界の片隅で
その世界の恩恵にあぐらをかいてる

きょうも 
息がくるしくて こころが痛い

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